Shimple.

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【感想】「無知の知」を心に。湊かなえの「リバース」を読んで強く思ったこと。

こんにちは、しろです。

 

なんだか梅雨で体が重く、動けない日々が続いていました…。(仕事はしてましたが)

 

そんな中でもなんとか読書だけはこなし、最近衝撃的だった本をご紹介します。

 

湊かなえ先生の「リバース」です。

 

 原作のドラマも好評でしたね〜。と言ってもわたしは途中までしか観ていなくて、中盤くらいから録画したまま放置してますが。(「原作読み終わったら観よう!」と思っていたので、やっと観られる…!)

 

(この「リバース」、文庫版とかハードカバーで色々な表紙があるようですが、個人的にはこの「コーヒー豆が崩れていく」感じの表紙が1番話を象徴している気がして好きです)

 

以下、ラストのネタバレが含まれますので未読の方はご注意ください。

 

 

無知の恐ろしさを突きつける名作。

湊かなえ先生は「イヤミス(読んでて嫌な気持ちになるミステリー)の女王」とも言われるほどに読後感に冷や汗が流れるようなお話を書かれることで有名な作家さんですが(代表作である「告白」もイヤミスの1つですね!)、本作もその通りといった感じでしたね。

 

もっともそれを象徴していたのは、やはりラストシーンでしょうか。

 

この物語は10年前に起きた事故を巡るものなのですが、その事故の被害者となったのが主人公・深瀬の親友である広沢。

 

事故を調べていくうちに、深瀬は「自分が知っている『広沢』は『広沢』のごく一部でしかなかった」ことを知り、「『広沢』がどういう人間だったのか知りたい」と思うようになり、広沢の過去を知る人々を訪ね歩いていきます。

 

そこで最後に辿りついたのが、自分の今の恋人である美穂子。美穂子は実は広沢の元恋人だったんですね。

 

美穂子に事故のことを打ち明けて気まずい雰囲気になったものの、深瀬が広沢のことに向き合っていることを知った美穂子は深瀬を許し、和解します。その過程で、深瀬は広沢が蕎麦アレルギーであったこと、そして自身が「苦手な酒を飲み、不慣れな中悪天候を運転することになった広沢」に、「せめて眠気が覚めるように」と渡したハチミツ入りのコーヒーに入っていたハチミツの原料が「蕎麦」であったことを知ります。

 

深瀬が「良かれ」と思ってした行動は実は広沢にとっては「悪」であり、結果的に事故の引き金を引いてしまったのは自身が淹れたコーヒーであったことに気がついた深瀬は、「広沢を殺してしまったのは自分だった」ということを知ったところで、この物語の幕は引かれます。

 

深瀬は物語の中で度々、広沢ともっと話をしなかったことを後悔しています。もし何かの過程で広沢と話をする機会がもっとあれば、事件が起きることもなかったかもしれない。

 

「知ろうとしないこと」つまり「無知」はもしかしたら何よりもの罪悪かもしれない。この作品を読んでもっとも強く感じたのはそのことでした。

 

だからこそ、もっと「知る」努力をしよう。

倫理学の中で、「無知の知」という概念があることをご存知でしょうか。

 

無知の知」は「自分が無知であることを知る」ということがもっとも賢いことである、と定義づけられています。

 

自分が無知であることを自覚する。当初の深瀬のように、「自分は全てを知っている」(この場合、「親友である広沢のことならなんでも知っている」ということですが)と驕ってはならない、というわけですね。

 

何事も、自分の知らない面がある。だからこそ、もっと「知る」努力をすることが必要なのだな、と強く思います。

 

全てを知ることはできなくても、「知る」ということを努力するだけでも、もしかしたら何かが変わるかもしれない。

 

この作品の中でも、「知る」機会はたくさんありました。例えば、10年前の旅行中、広沢は深瀬が提案した「水蕎麦」ではなく、「カレー」を1人で食べることを選択しています。

 

そこで深瀬がもっと「どうして水蕎麦じゃダメなんだ?」と追求すれば、「実は蕎麦アレルギーなんだ」と広沢が打ち明けてくれたかもしれない。

 

それを「広沢はいつもカレーを食べてたし、よほどカレーが好きなんだろうな」と完結してしまったことも、深瀬の落ち度の1つでしょう。また、原材料名が記載されていないハチミツを手に取った時点で、「原材料はなんだろう?」ともっと深く「知ろう」としていれば、そのハチミツを使うという選択肢が出なかったかもしれません(そもそも蕎麦はアレルギーの人が非常に多い食材の1つですので)。

 

「知らない」ことを「知らない」ままに放置してしまう。そのことは時に大きな自体を招くということを、もっと自覚していかないといけないな、と改めて意識を変えさせられました。

 

まだまだ世の中には知らないことがたくさんある。もっと好奇心と追求心を持つことで、人の人生は豊かになるかもしれなません。わたしも日々、好奇心と追求心を磨いていきたいなと強く思います。

 

 

読んだよ〜の一言で頑張れますので、よろしければ…!

 

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