【感想】漫画の登場人物のように生きたい。「覆面系ノイズ」13巻を読んで思うこと。(多少のネタバレあり)
こんにちは、しろです。
突然ですが、わたしはオタクとまでは言わないまでもそこそこアニメや漫画が好きです。流石に「全部視聴するぜ!」的なところまではいかないのですが、春夏秋冬、クール毎に放送アニメ一覧表をチェックし、気になるアニメをピックアップしては観ています。(アニメはdアニメストアなんかで観ることが多い)
個人的に今期の中でかなり楽しめてるアニメ「覆面系ノイズ」
(これが最新刊。白い背景って爽やかで良いな〜!)
もともと作者である福山リョウコ先生の初連載作品である「悩殺ジャンキー」が好きでした。わたしが読んでたのはおそらく高校生頃だったかな?(当時は連載中だったと思う)
その頃は友人に漫画好きが多かったのもあって、ありとあらゆる漫画を読んでいました。「悩殺ジャンキー」もその中の1冊。極悪ヅラの主人公(モデル)と、美少女モデルとして売り出しているヒーロー(今で言う「男の娘」というやつですね。当時はそんな言葉あったかなあ…)を中心に、モデル業界でアレコレする話(まとめ方が非常に雑!)。
「THE・少女漫画!」的な絵柄ながらも、「恋」の切なさや「(抗えない)体と心の成長」といったことに真正面から向き合っていて、少女漫画の割に深層部分は割とエグい(と思う)。しかし一見エグさは感じさせず、それらを切ないモノローグと対照的なギャグで見事に描ききっていた。
わたしは羽海野チカ先生の「ハチミツとクローバー」や「3月のライオン」も好きなのだけれど、それに通じるものがある。切なさとクスッと笑える要素が同居している作品が好きなのかもしれない。どの作品も、シリアスとギャグの落差が本当に凄い。
高校を卒業してからはあまり漫画を読まなくなったこともあって、福山リョウコ先生の漫画からは遠ざかっていたのだけれど、2017年春クールのアニメ一覧を観て懐かしさを覚えて視聴→すっかりハマって既刊(当時は12巻出てた)を全部集めて1日で一気に読みきりました。(ちなみに全部電子書籍で読んだ)(個人的にはアニメは「うわー歌ってる!!!!!」感が良くて、話の筋としては原作が好きですね。心情も伝わりやすいし)
さて、この「覆面系ノイズ」。こちらも「悩殺ジャンキー」同様ヒリヒリとした感情が伝わってくるモノローグと卓越したギャグセンスが素晴らしい作品。というか、「悩殺ジャンキー」よりも切なさが増している…!
加えて舞台がわたしのルーツである鎌倉で、「うわー、ここ知ってる知ってる!」となりながら楽しく読んでおります。
ここで簡単に「覆面系ノイズ」のあらすじ。
歌うことが好きな主人公・ニノは、幼馴染のモモ(という名前だけど男)に淡い想いを抱いていたものの、モモはある日突然ニノの前から姿を消してします。失意の中、「お前の歌を目印にして、また会えたらいいよな」というモモの一言だけを頼りに、ただひたすら海岸で歌い続けていたニノ。そんな中で知り合ったのが、作曲を得意とする少年・ユズ。ユズはある事情から週に1度海岸を訪れては曲を書いていました。それを歌ったニノの声にユズは一目惚れ。ニノもユズに心を許しますが、ユズもある日突然ニノの前から姿を消します。それでもニノは「モモとユズに届くように」と歌うことをやめませんでした。
数年後、入学した高校で偶然ユズと再会するニノ。そしてひょんなことから、ユズの所属しているバンドのボーカルを務めることに。「モモに声を届かせる」という目的があったニノは、そのためにユズやユズのバンドメンバーと交流するようになり…という話です。
長々書きましたが、めちゃくちゃ雑にまとめると、ユズ→ニノ→モモの片思いを軸とした(ほかにも片思いしている登場人物がわらわら出てくるのですが)青春バンドラブストーリーです。(本当にめっちゃざっくり)
で、13巻はと言うと。
1〜12巻で、なんやかんやあって(またもや雑。経緯が気になる方は是非漫画orアニメを見ていただきたい)、モモと付き合うことになるものの、肝心の「歌」が歌えなくなってしまうニノを軸にストーリーが展開されていました。
特に突き刺さったのが、思うように歌えなくなったニノがライブに挑むシーンですね。
ニノのライバル兼親友の深桜という女の子がいるんですが、歌えなくなったニノ(と、とある事情で歌声を失ったユズ)のことを「人魚姫みたい」と評するんですね。恋を引き換えに声(歌)を失った、と。(ユズは逆ですが)
すっごいポエミーだ…(だがそれが良い!漫画だもの!ポエミーでナンボ!)
そしてそれにニノは気がついているんですね。それでもどうしても届けたい思いがあって、それは言葉じゃ全てを表現することができなかった。歌でなくてはダメだった。だから抗おうとしている。
その結果吐き出された言葉が、
私に 声をちょうだい神様
1ページにこのセリフだけドーン!と来た衝撃たるや。ニノが「歌う」ということをどれだけ渇望しているかがこれだけでよくわかる。
登場人物がブレない。
「覆面系ノイズ」の凄いところは、これに尽きると思います。
ニノ、ユズ、モモをはじめとして、登場人物たちは一貫して同じ感情を持ち続け、行動を継続している。
ニノは 「想いを届けるため」に「歌い続ける」
ユズとモモは「好きな人(ニノ)に歌って欲しい」から「曲を作り続ける」
色々な悩みや葛藤を抱えながら、ここの部分はずっとブレないんですよね。
モモはあらゆる事情からお金が必要で、「稼ぐための曲」も作りつつも、ニノへの想いを秘めた曲も作り続けるし、ユズも「今のままのアリス(=ニノ)が一番輝く曲を、僕が必ず作るから」と宣言している。
自分が何をしたいかが明白で、そのために何をするべきかがわかっている。しっかりと「自分の軸」を持っている。めっちゃよくできた子たちだなと思います…(高校生でこれができるって凄い)
「継続し続けること」の大切さと重要さ。
ニノは「モモに声(想い)を届ける」ためだけに、延々と歌ってきた女の子です。しかし、ゴールが見えない中で何かをひたすらやり続けるのって、なかなか勇気がいるんですよね。実際、作中にもこんなやりとりが出てきます。
「あのね 普通あんたみたく6年も歌い続けたりできないの!おかしいんだよ仁乃は!!」
「そんなのわかってるわ!!こんなとこで毎朝大声でうたって普通じゃないのわかってる 何度もいろんな人に笑われたし馬鹿にされたけど そんなのもうぜんっっぜん慣れたわ!!おかしくて結構よ 文句ある!?」
「…でもやめるのは 行けるとこまで行ってからよ だから私はうたうわ」
「どれだけみっともなくても馬鹿でもおかしくても」
周りからどんな目を向けられても、1つのことをやり続けたニノ。その結果が、「居場所(バンド)」を確保することにもつながり、「モモ」との再会を果たすことにもつながった。
これってシンプルだけど、生きる上でめちゃくちゃ重要なことなんじゃないでしょうか。
どんな風に言われても、笑われても、自分が「やる」と決めたことをやり抜くこと。すごく単純だけど、できている人はものすごく少ない。
よく言われていますが、【「努力は必ず報われる」というわけではないけれど、やった人は必ず努力している】というやつですね。
本当に自分が自由に生きたいと思うのならば、このマインドを持つことが非常に大切なのかもしれない。「覆面系ノイズ」を読んでそう思わされました。
漫画の登場人物のように、潔く生きよ。
「覆面系ノイズ」に限らず、漫画の登場人物って、こういうマインドを持っている登場人物が多い気がする。だからこそちゃんと結果を出すんですよね…。
ちゃんと「自分軸」を持って、周りに惑わされることなくしっかりと、潔く生きる。
シンプルに生きたいのであれば、漫画の登場人物のように、こういった気持ちで生きるべきなのかもしれない。
それにしても、漫画は本当に侮れませんね〜!色々な自己啓発本を読むのも良いですが、漫画から学ぶことはたくさんあると思います。
それにしても、この「覆面系ノイズ」は非常に気になるところで終わっています…。次巻は一体どうなるんだろうか…。刊行ペースは3〜4ヶ月っぽいので、次に出るのは秋頃でしょうか。楽しみすぎる。
物語の終盤に「消失の空」という曲(正確にはその対になる曲)が鍵として出てくるんですが、13巻の限定版でその曲が聴けるらしい…。電子書籍で買ったのに、限定版が欲しくなってしまったッ…!踊らされている。
ちなみにこの巻に収録されている読み切りも面白かった。なんと舞台が京都!!!!高まる!!!!!(そしてカメラに手を出したくなった)(単純)(しかし作中に出てくるカメラは40万くらいした)(むり)
しかしほんと、潔く生きるのって大切だよなあ…。わたしも色々な邪念にとらわれず、自分の軸をしっかり持って生きたいなーと思います。
読んだよ〜の一言で頑張れますので、よろしければ…!
中の人「しろ」
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